オレンジジュース~俺と一人の生徒~
授業
それから何度か電話をしたが、毎回電話に出るのはお姉さんだった。
俺は『直さんには内緒で…』とお願いした。
だってさぁ、恥ずかしいじゃん。
携帯に電話すればいいんだけど、なんとなく用のない時はかけ辛くて…さ。
お姉さんは話せば話すほど、近く感じる人だった。
俺の今までの生徒を思い出すような人だった。
教師を信用していなくて
大人を嫌っている口調。
でも、俺が嬉しかったのは
いつも妹をよろしくと言って電話を切るところ。
完全にバレてるかも知れない。
俺が矢沢を好きだってこと…
まぁ、いっか。
いつか家族になるんだし。
夏休みに、矢沢と約束した『卒業まで手を出さない』って約束。
俺は守れる自信がある。
今我慢することで永遠に俺と矢沢が結ばれるなら
今の苦労も我慢も、へっちゃらだ。
俺は、矢沢と生きていきたいと心から思うから…