ねぇ、キスして?
そんなあたしに、慌てたように彼が口を開いた。



「違うっ!そうじゃない……、俺、怖いんだよ……恋愛することが。俺の気持ちを押し付けて、迷惑がられて……また離れていかれるのが、すっげぇ、怖い」



そう言いながら眉を下げた彼を見ていたら、胸にズキンッと痛みが走った。



「あたしは……離れていかないよ?ずっとあっくんの傍にいる」



正直、あっくんに子供がいるって知ってショックを受けた。


強引に付き合うほど好きな人がいたって知って、あたしはその人には勝てないんだと自信をなくした。


でもだからってあっくんの傍から離れるなんて考えられないし、何よりあっくんを忘れられるはずがない。


そう思ったら、あたしの居場所はここしかないんだと気付いた。
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