ねぇ、キスして?
「子供とは……一年以上会ってねぇし、今どうしてるかっつうのは、よくわかんねぇ」



眉を下げながら寂しそうに言った彼に、ズキンッと胸が痛む。



「会わせてもらえないの?」



そんな彼につい、こんなことを聞いてしまったけれど、彼は伏せていた顔をパッとあげた。



「いや、違う。いつでも会いに来てとは言われてんだ。……俺が、会いに行かねぇだけ」


「どうして?」



彼を見ていたら、子供のことを想っているって伝わってくるのに会いに行かない意味がわからなかった。


そんなあたしの疑問に、彼は今までで一番と言えるほどの苦痛に歪ませた表情を見せながら、また口を開いた。



「子供には会いたかったけど……、会いに行くと必ず、彼女がいて……」



彼女?


それって……



「あっくんの元カノ?」


「ん。まあ、母親だからいるのは当たり前なんだけどさ。でも俺は、会えば会うほど忘れられなくて……だから、忘れるまでは会いに行かないって決めたんだ」



そう言った彼の言葉からは、元カノのことがほんとに好きだったんだと伝わってきて、凄く胸が痛くなった。
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