ねぇ、キスして?
だけどそんな空気を一気に壊すように



「どーじょ」



愛理ちゃんが小さな手に握っていたものをあたしに差し出してきた。


壊すといっても嫌な意味じゃなく、その逆で嫌な空気をほんわかとした空気に変えてくれた。


愛理ちゃんが握っていたものは、小さなお花。


道路の脇に咲いているような雑草だったりするんだけれど、大切そうにぎゅっと握りしめているのを見たら、その場の空気だけじゃなく、あたしの心までほんわかと温かくなった。


そんな愛理ちゃんに視線を合わせるために、ゆっくりとしゃがむ。


そして手を出してそれを受け取った。



「ありがとう」



そのお花は茎がしなるほどに握りしめられていたんだけれど、それだけ大切に持っていたものをくれたと思うと、凄く凄く嬉しくなった。
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