竜の箱庭
「行って！」

ネリーの声に弾かれたようにシィは駆け出した。
すぐにシィは茂みの奥に身を低くして隠れた。
程なくして、役人たちがリーズとネリーの傍にやってきたようだった。

「後生ですから娘には…」

リーズの言葉に、役人たちは明らかに耳を貸していないようだった。

「来訪者を匿うものはその場で処刑する決まりになっている」

無慈悲な言葉の後、リーズの悲鳴が響いた。
シィは思わず目を瞑り、震えながら茂みの向こうの声に耳をそばだたせているしかできない。

「いや…あ…」

ネリーの声が、微かに聞こえた。

「手間取らせやがって。連れて行け」

一人が指示し、抵抗するネリーの事を連れ去ってしまったようだった。
シィは人の気配がなくなっても、暫く動く事ができなかった。



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