竜の箱庭
助けるにしても、余計な詮索などせずに近くの村においていけばいいのだ。
それをしないで、来訪者とわかっても役人につき出しもしない。
セインの言う、竜の門番という存在が何か関係ありそうなのだが、シィは今そこまで尋ねる気にはなれなかった。

「…よし、それじゃあ行こうか」

セインはそれだけ言うと、歩き出してしまった。
シィも仕方なく後を追う。
今はいずれにしても、このセインという得体の知れない青年以外は頼れるものはいないのだ。

 それは、自分も同じか-…。

シィは自嘲気味に微笑むと、暗闇に支配される森の中、青年の白いローブの後を追った。





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