竜の箱庭
週が明け、シィは変わらない毎日を過ごしていた。
ルードも無事に戻り、何日か経ったある日。
家の扉が激しく叩かれた。
ルードが扉を開くと、外には何人かの村人が立っていた。
「おはよう、みんな」
「おはよう、じゃないよ」
村人たちは怒っているようだった。
何事かと、リーズとシィも奥から様子を伺う。
「隠しているそうじゃないか、ルードさん」
「…?何をです?」
「何を、じゃない!」
普段は温厚な村人たちが、怒りを隠そうともせずに声を荒げる。
思わず恐怖に、シィの身体が震えた。
リーズはシィをぎゅっと抱きしめると、何が起こっているのか知ろうと廊下に顔を出した。
「来訪者だ!ずっと隠していたんだろう!」
「…どこで、そんな話を…」
シィは驚きのあまり声も出せずに震えていた。
それは、週末に友人たちに言われた言葉と同じものだった。
誰かが、大人に話してしまったのだろう。
来訪者とは…こんなにも村人を怒らせてしまうような存在なのだろうか。
「ちょっと待ってください!シィは、十年前にこの家に捨てられた子なんですよ?!」
思わずリーズが声を出す。
腕の中にいたシィは、何も言う事が出来ない。
「それ自体が嘘なんだろう?本当は、お前たち夫婦が子供欲しさに禁術に手でも出したんだろう」