オオカミ系幼なじみと同居中。
――暗い部屋の中。
あたし達はベッドに座っている。
甘くあたしを見つめる要……。
じゃなくて。
慌てて口元を拭っているあたしをおかしそうに眺める要。
……なんなの、このムードのなさ。
きっとあたしがいけないんだ。
あたしにもっと色気があったらきっと要だって、こんなシチュエーションに健全な男子の要が黙っていられるはずがない。
だ、誰か。
助けて……っ。
逃げたい。
あたしはとっくに逃げ出したくなってる。
要がこんな至近距離であたしを見つめるから。
ちょっと前の自分なら考えられなかった。
「未央?」
うなだれるあたしに気づいて、要はあたしの顔を覗き込む。
「…………」
「………」
ドキン!
うぅ。
また胸がギュッと締め付けられる。
もう、痛くて死んじゃいそうだよ。
この暗闇にも目が慣れて、要の顔がしっかりとわかるようになった。
要との距離は20センチもない。
横に置かれた手とあたしの手の距離はたった数ミリ。
全神経が今、そこに集中している。
もう、他に何も考えられない。
要に触れたい。
まだ、あたしを捕らえたままの視線から、全てを見透かされてしまいそうで、どうしていいかわからなくなる。