オオカミ系幼なじみと同居中。
要は一瞬ピクリと震え、それから足を止めるとゆっくりとこちらに向きなおった。
ちょうど、あたしと要、そして旬が三角になっている。
あたしは一体旬が何を言おうとしているのかがわからなくてスカートをギュッと握り締めた。
「……えーーっと? ごめん、誰だっけ?」
要は質問には答えず、少し首を捻りながらポケットに手を突っ込んだ。
うわ、めんどくさそう。
「……俺は、藤森。 前に俺達のクラスに来てたよな?」
「さあ、そうだっけ?」
要はうーんと顎に手を当てながら、思い返すように宙を仰いだ。
――うんん……思い返す“ふり”をしている。
「あれから……薄々気づいてたんだけど……」
旬があたしの顔をちらっと見た。
――――何?
「桜井と相田って……その、付き合ってるのか?」
「ええぇ!?」
「相田の家に出入りする桜井を見たって奴もいるらしいし。……それに会話がおかしいって……まさか、同棲…とか」
「……え」
バサッ
あたしはそこまで聞くと、手に持っていた鞄を思わず落としてしまった。
どうしよう。どうしよう。
みるみる顔から血の気が引いていくのがわかる。
旬はあたしをじっと見つめたまま。
要も動揺しているあたしを見た。
「な、なな何言って……」
「何で知ってんの?」
へっ?
い、い今の要!?
“何で知ってんの”って言った?
なんで?
秘密なはずでしょ?
あたしは信じられない気持ちで、要の顔を見上げた。