オオカミ系幼なじみと同居中。


・・・・・・あの時の子が・・・・要?


まるで記憶の扉が一気に開かれたように、次々に当時の事が浮かんできた。


木漏れ日の中。
ふわふわ舞う、淡いピンク。

やわらかい風が揺らすのは、ちょっとだけ癖のある真っ黒な髪。

木々の隙間をぬけて、さしこむ光の筋。
その光のシャワーを浴びて、微笑むのは……


頬をピンクに染めた色素の薄いまるでお人形のような顔―――……








じゃあやっぱり記憶の片隅にいた“あの子”は要だったんだ……




そっか……。
そうだ。あの頃のあたしは……


少し大人びたあの男の子に小さな恋心を抱いてたんだ。
小さいながらに真剣に好きだった。


あの子はいつも笑ってた。



そして、この公園の……


そう、あの桜の木の下で、あたしはあの子に愛の告白をしたんだ……




『要くん!あたし要くんの事が好き!!!
だからあたしをお嫁さんにしてっ』



要の手を握り、あたしは苺キャンディーを彼にあげたんだ。

今思えばなんて、ませた子供だったんだろう・・・・・・

今更、全身が熱くなっていくのを感じた。

そのあたしの様子に気づいた要は、ニヤリと口の端を上げた。



「やっと思い出した?」




あたしの初恋の相手が要だったなんて!!!


でも、なんであたしは忘れてしまっていたんだろう。




甘く、優しいこの想い出を・・・・

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