オオカミ系幼なじみと同居中。
要の顔が木漏れ日の中でゆらゆら揺れている。
黒髪がその光のシャワーを浴びてほんの少し茶色く染める。
そう、あの日も今日みたいなぬけるような青空だった。
「未央、まだオレの事……キライ?」
要の長い前髪が、風に吹かれている。
「まだってどゆこと?」
「未央がオレを拒んだんだろ?
オレに熱烈プロポーズしといて、急にキライになったから会いたくないはひどいよな。
ガキながらに人間不信に陥るとこだった」
あたしは耳を疑った。
「オレは、この高校に入学した時から未央の事知ってたよ。
あぁ・・・この女かって。オレの事少しは覚えてると思ってたけど、何度すれ違っても、何度、売店で並んでもお前、気づかなかった」
そう言って、要は笑った。
「あげく、好きな男まで作って、そいつの事見てキャーキャー喚いてたもんな」
「わ・・・喚いてなんかない!」
要の胸を叩こうと、腕を振りかぶってみたけど、いとも簡単にその腕は捕まった。
「ほら、今みたいに」
要はあたしの手を掴んだまま笑ってる。
ああ・・・やばい・・・
あたしは顔が、赤くなるのを感じた。
そうだったの?
あたしの事ずっと見ててくれたの?
「まあ、あんなガキの頃の話だし、未央が忘れててもしかたないって思ってたけど」
要の手がゆっくりと伸びてきた。
ドキン・・・・
優しく髪に触れる手・・・・
ダメだ。
あたしは、この瞬間に弱すぎる・・・。