オオカミ系幼なじみと同居中。
要ってば、要ってば!
まるで子供ように楽しそうに笑う要。
その屈託のない笑顔に急に照れ臭くなって視線をそらした。
イジワル言ったり、あたしをしびれさせちゃうような甘い言葉を囁いたり。
要ってやつには敵わない。
ドキン ドキン ドキン
最初に会った時の印象と全然違う。
要はあの時、何を思ってたの?
何を考えてたの?
あたし、全然覚えてなくて……ごめんね?
「……」
ちらりと要を見上げる。
ほとんど真上にある要の顔。
一体何センチあるのよ?
あたしの視線に気づいて「ん?」と首を傾げる要。
その動きにあわせて柔らかな前髪も一緒に揺れた。
それは、幼い日の記憶と重なる……
あたしの好きな要だ……。
ちっと変わらない。
目を細めて微笑むその視線からあたしはさらに体温が上がるのを感じた。
……うぅ。
なんでこんなに綺麗なのよ。
そんな顔で見つめないでよ。
……反則、でしょ?
あたし、こんなに幸せでいいの?
嬉しくて、信じられないよ。
夢……じゃないよね?
そして、要はあたしの背中に回していた腕を解いて距離をとりながら言った。
「おし。じゃあ……帰りますか」
「へ?……か、帰るの?」
あたしは呆気にとられて差し出された手を見つめた。