オオカミ系幼なじみと同居中。
そう思うと、目がうるうるしてきて、涙が溢れそうになった。
「要……」
要に、触れてもらいたい。
誰かに触れて欲しいなんて。
そして
要が欲しいよ。
要の全部が欲しい。
心も体も、ぜーんぶなんだよ?
あたし、欲張りかな?
こんな気持ちになるなんて知らなかった。
でも。
嬉しいのに、あたしの体は反比例して、ガチガチに固まっていた。
あたしの首筋にキスをしていた要は、少し顔を浮かしてあたしを見た。
「あのさ、俺……無理矢理どうこうしたいって、そんな趣味ないんだ。
こう見えて、ちゃんと、気持ち確かめ合ってからする主義でさ……」
「……え?」
目を丸くしたあたしからふっと視線を逸らすと、少しだけ照れてるみたいにはにかんだ。
「嫌なら、今じゃなくてもいいから」
「……要」
あたしは、嬉しくて恥ずかしくて、要の口から出た優しい言葉に思わず笑みがこぼれてしまった。
「なんだよ、笑うこと?」
口を尖らせて、不満そうな顔をした要。
あたしは、要が愛しくて愛しくてたまらなかった。
「あたし……あたし、要ならいいよ? あげる。あたしのバージン!」
そっと耳元に唇を寄せてそう言った。
真っ赤なあたしが映ってるその瞳をさらに大きく見開いた要は、急に力尽きたみたいにバフッとあたしの髪にその顔を埋めた。
「え?ど、どうしたの?」
や、やっぱ引いた?
堂々と宣言する事じゃないもんね。
ひーーんッ
最悪だよぉ、どっか見えないとこに隠れたいッ!
そして要は、顔を埋めたまま視線だけをあたしに向けた。
「……それ、殺し文句」
「へ?」
そう言って、またあたしの上に覆いかぶさると要はそっと唇を塞いだ。
優しくしたと思ったら、あたしの中に深く入ってくる。
その熱に、今にも溶けてしまいそうだ。
キスがこんなに気持ちいいものなんて、知らなかった。
要に出会って、初めてのことばかりだ。