オオカミ系幼なじみと同居中。
なんでも、ないなら・・・
玄関で言おうとしたのはなんだったの?
そう思って、むくれているあたしを面白そうに眺めている要を見上げた。
「・・・バイト、一緒なんだね」
「ああ。たまたまバイトで入った日が同じだったんだ。だから何かと相談されんだけど、それがどうでもいい事ばっかでさ」
そう言った要は、面倒だと笑った。
「そうなんだ・・・」
あたしは、要のその笑顔を見て、もう何も言えなくなってしまった。
聞いてはいけない気がした。
要が“何にもない”と言うならあたしは信じるしかない。
たしかに、要とは幼馴染だった。
でも、あたしは今までの要の事を何も知らないって思い知らされる。
要から話してくれるまで待ってみよう。
そう思って、あたしは眠りについた。
その日、あたしは夢を見た。
とてもとても冷たい瞳であたしを見つめる要の夢を―――
怖かった―――――・・・・