オオカミ系幼なじみと同居中。
あたしは思わず要のベッドから抜け出した。
「・・・・・」
体がガタガタと音を立てて震えだす。
何もなかったように眠る要の顔を見つめる事しか出来ない。
「ん・・・」
綺麗に閉じられていた要の睫毛が一瞬、ピクリと動いた。
そして眩しそうに片目だけうっすらと開けられた。
その瞳が、目の前に立ち尽くしているあたしを捉えた。
「・・・未央?」
要はうーんと伸びをすると体を少し起こした。
「・・・はよ。起こしに来てくれたの?」
「・・・・・あ・・・あぁ。うん、そだよ」
あたしはぎこちなく笑顔を作る。
無意識に要から発せられた『みさき』という名前。
これが、答えなんじゃないの?
「そか。・・・んで、おはよーのチュウは?」
要は悪戯に笑って見せた。
その笑顔に、あたしの視界はぼんやりを滲み始める。
ズキン
あたしの心臓が音を立てだす。
「ばあーか」
「・・・つれないねぇ」
あたしは必死にそれがバレないように『ベー』と舌をだして要の部屋を出た。
要はフッと鼻で笑ってあたしの背中を見送った。
あたしは要の部屋を出て、そのまま自分の部屋に勢いよく戻った。
ドアを閉めて、そのままズルズルとその場に座り込んだ。
「要・・・信じていいんだよね?」
あたしは、涙が溢れてしまわないように顔を手で覆った。