オオカミ系幼なじみと同居中。
薄暗い店内に、美咲さんのいる場所だけ花が咲いたようなふんわりとした雰囲気なのがわかる。
美咲さんに気をとられていると、さっきの男の人が飲み物を持って現れた。
「はい。どーぞ」
テーブルの上にコトリと置かれた小さなグラスには、ピンクと白のグラデーションがかわいい飲み物が注がれていた。
「あの、あたしお酒は……」
慌てて彼を見上げると、彼はにっこり微笑んで言った。
「大丈夫。これお酒じゃないから」
「え?」
「だから、どうぞ」
そう言ってチョコレートもすすめた。
「あ……ありがとうございます」
あたしはペコリと頭を下げた。
「では、ごゆっくり」
彼は綺麗にお辞儀をすると、またカウンターに戻っていった。
いいのかな……?
あたしは目の前のグラスを手に取って、一口飲んだ。
「甘い……」
なんだか胸がキュンとなるような。
甘酸っぱい苺味がした……。