オオカミ系幼なじみと同居中。


「お前……」

「へ?」


押し黙っていた要が不意に口を開いた。



「なんで黙ってたの?」

「……え?」

「今日の来ること」

「あー……」



要はまっすぐ前を向いたまま歩く。

あたしは要のその表情を探ろうと身を屈めた。


「もしかして、俺のこと疑ってんの?」


そう言った要はやっぱり怒っているようだ。


どうしよう。

疑ってるわけじゃなくて……。



ただ気になって。


彼女の存在が気になって……。

美咲さんと一緒にバイトしてるのがいやで。

これって、疑ってるって事になるのかな?



「あ……」


素直に言おうとした瞬間。



「……俺さー、束縛とかキライだから」




……怒ってた。

超怒ってた。




無理ないけど、でもそこまではっきり言わなくてもいいじゃない。



ちゃんと心は繋がったって思ってた。


でも、人の心は簡単には通じ合わないわけで。


あたしは、要の背中で、ただ要を見つめてた。



頑張っておしゃれして
かわいいワンピ着て。


そんな自分が惨めに思えて
どんどんぼやけて見えなくなる要を、瞬きをしないようにじっと見つめた。



今、瞬きしたら……ダメ。

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