顔面レベル100の幼なじみと同居なんてゼッタイありえません!
おばさんの抱擁から解放されて、あたし達はそれぞれの部屋の前にいた。
「……お、おやすみ」
「未央」
ドアノブに手をかけて部屋に入ろうとしたあたしを要が引き止めた。
あたしは名前を呼ばれて一瞬体をこわばらせた。
氷ついたあたしの体を要は自分の方に引き寄せた。
「……未央が何を気にしてるのか、俺にはわかんないけど。 でも、未央が心配してるような事はなんにもないから」
あたしを抱いた腕にギュッと力がこもった。
「俺は、未央だけだから」
そう言った要はそっと体を離してあたしの顔を覗き込んだ。
要は今にも泣き出しそうなあたしの顔を見て、フッと柔らかく笑うと『ばぁか』と口だけで言った。
「要は……ずるいよ」
そんな顔をされたら信じるしかない。
あたしの不安な気持ちとか、ぐちゃぐちゃになっちゃいそうな感情とか。
要には、全部わかっちゃうんだね。
あたしを見つめる要の甘い瞳がだんだん近ずく。
そしてその瞳に吸い込まれるように、あたしは目を閉じた。