オオカミ系幼なじみと同居中。
「菅野……美咲さんって……どんな子ですか?」
あたしはジンさんと紅茶を交互に見ながら遠慮がちに聞いた。
ガラスのショーケースから反射する光でジンさんの顔は七色にその顔色を変えているようだった。
でも、あたしは見逃さなかったよ?
美咲さんの名前をあたしが出した瞬間、ジンさんの澄んだ表情が一瞬曇ったの。
「美咲ちゃん?……俺はてっきり要の事が聞きたいのかと思った」
ジンさんは、あたしの顔を見つめたままそう言うと、柔らかく笑った。
その顔は、さっきまでのジンさんと変わらなかった。
「でも、どうして?」
そう言うと、再びチョコレートに手を伸ばしたジンさん。
「……あ・……えと、この前来た時、彼女の雰囲気が良かったとゆうか……」
そう、彼女の周りにだけまるで花が咲いたようなそんな華やかな雰囲気があったのをあたしは思い返していた。
接客をしている美咲さんから、視線が逸らせなかった。
「そうだね。美咲ちゃんはうちの評判の子だよ。
要が1ヶ月くらい前に紹介してくれてね。すごく頑張り屋だから助かってるよ」
そう言った、ジンさんの表情はわからなかった。
でも、もう十分だよ。
知りたい事は聞けた。
あたしはそれからジンさんと他愛ない話をして、お店を後にした。