オオカミ系幼なじみと同居中。


「未央?」



要を待ち続けて街が暗くなりかけた頃、あたしを呼ぶ声に思わず体が震えた。



――…要?



あたしは声のした方へゆっくりと振り返った。



「旬?」



視線の先には、驚いた表情であたしをじっと見つめる旬がいた。

部活帰りなんだろうか、ジャージ姿の旬は大きな鞄を肩から下げている。

iPodで音楽を聴いていたのか、イヤホンを外しながら自転車を引いてあたしに歩み寄った。



「なにしてんの?こんなとこで。…1人?」



そう言った旬は辺りを見渡した。



「んー…1人ではないんだけど…今は1人…かな?」



あたしは両手に持っていた缶コーヒーを握り締めた。
旬は眉間に皺を寄せて、首を傾げた。




やだな…

こんなところ旬に見られるなんて…。




あたしは足元に視線を落とした。


< 208 / 301 >

この作品をシェア

pagetop