オオカミ系幼なじみと同居中。
「未央?」
要を待ち続けて街が暗くなりかけた頃、あたしを呼ぶ声に思わず体が震えた。
――…要?
あたしは声のした方へゆっくりと振り返った。
「旬?」
視線の先には、驚いた表情であたしをじっと見つめる旬がいた。
部活帰りなんだろうか、ジャージ姿の旬は大きな鞄を肩から下げている。
iPodで音楽を聴いていたのか、イヤホンを外しながら自転車を引いてあたしに歩み寄った。
「なにしてんの?こんなとこで。…1人?」
そう言った旬は辺りを見渡した。
「んー…1人ではないんだけど…今は1人…かな?」
あたしは両手に持っていた缶コーヒーを握り締めた。
旬は眉間に皺を寄せて、首を傾げた。
やだな…
こんなところ旬に見られるなんて…。
あたしは足元に視線を落とした。