オオカミ系幼なじみと同居中。
「今、ここに住んでるんだ。・・・相田も」
旬は、あたしを家の前まで送ると、そう言って「ふーん」と言いながら見上げている。
「うん。まあ・・・。でもここ元々は要の家だから」
あたしも旬の視線を追って大きな要の家を見上げた。
だって無駄に広いんだもん。
あたしが来る前は、3人で住んでたんだよね?
部屋、余りすぎだよね~。
うらやましい・・・。
そんな事に思いを巡らせていると、
「未央」
旬があたしを呼んだ。
あたしは慌てて視線を戻した。
「あんま、深く考えんな」
「・・・・・」
「結構、ネガティブ思考だろ?」
「・・・そ、そんな事ないよ!」
旬はむくれたあたしの顔を見て、悪戯な笑顔を浮かべると「またな」と右手を上げた。
「・・・旬!」
思わず呼び止めると、旬は顔だけこちらに向けた。
「あ・・・ありがとう!送ってくれて・・・」
旬は、ピースサインをしてにっこり笑った。
「おう。じゃ、明日なー」
そして自転車を勢いよくこいであっと言う間にその姿は見えなくなってしまった。
それから暫くして携帯に要から連絡が入った。
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From要
Re:
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今日はほんとにごめん。
この埋め合わせは絶対する。
クリスマス一緒に過ごそう。
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同じ家に住んでいながら、メールでやり取りするなんておかしいよ。
あたしは、要のメールの返事を返せずに携帯をパチンと閉じた。
明日、ちゃんと話をしよう。
その日の夜は、風のない静かな夜だった。
静寂に包まれ、雲のないビードロの夜空が広がっていた。