オオカミ系幼なじみと同居中。
「・・・未央?」
その声に顔を上げるとすでに家の前にいて、旬が心配そうにあたしの顔を覗き込んでいた。
その瞳は、真っ直ぐにあたしを見据えている。
「大丈夫か?」
そう言って、旬の大きな手があたしの冷たくなった頬を包んだ。
あったかい・・・
旬の長い指は、あたしの瞳から流れる雫を懸命に拾ってくれていた。
「・・・え・・・え?」
その瞬間、ハッと我に返りあたしは旬から視線を逸らして慌てて涙を拭った。
わわ。
かっこ悪い・・・
あたしいつから泣いてたの?
自分が涙を流していた事にさえ気づかないなんて・・・
どれだけぼーっとしてたんだろう。
あたしは旬に背を向けると大きく溜息を付いた。
「ごめんね。こんなとこ見せちゃって・・・
・・・もう大丈・・・夫・・・」
精一杯の笑顔を作りながら振り返ったあたしは、そのまますっぽりと旬の胸の中に収まっていた。
「・・・・・」
「・・・・・」
今、自分に起こっている事態に反応できずにあたしは身動きがとれない。
な・・・なに?
これ・・・。
旬は、あたしを抱きしめたままその腕にギュッと力を込めた。