オオカミ系幼なじみと同居中。
家には2人きり。
おじさんは会社の忘年会で遅くなるって言ってたし、おばさんは町内会の行事に参加していて帰りは早くても9時を過ぎるって言ってた。
おじさん達が出張から帰って来てからは、毎日おばさんがうちにいたし、要と2人きりになるのは本当に久しぶりだった。
「要って料理出来たんだ・・・」
手際良く包丁を扱う要にあたしはさっきから尊敬の眼差しでそれを見つめた。
小気味良いその音を聞いていると、つい最近やり始めましたって感じじゃない。
「まあね。ガキの頃から良く手伝いしてたから。バイト先でも教えてもらってるし」
そう言いながら、要はチラリと視線だけを向けた。
へ~え・・・意外。
でも、キッチンに立つ姿、すっごく様になってる。
格好良くて、運動神経も良くて・・・
勉強も出来て・・・・料理も出来るなんて・・・・・
すごすぎ・・・うらやましぃ・・・
あたしは要の横顔を気づかれないようにこっそり見つめてみる。
でも、あたしのその視線に気づいて要は「なんだよ?」と首を傾げた。
うわッ!
見てたのバレた・・・。
はずかしー!
火が付いたように一気に赤くなっていく顔を見られたくなくてあたしは咄嗟に視線を逸らした。
そんなあたしを見て要は、なんとも複雑な表情になった。
うぅ・・・
絶対呆れられた!
さらに熱くなる顔を両手で押さえた。
「ぶはっ・・・」
「・・・・」
耐え切れないと言うように要はとうとう吹き出した。
そして、ひたすらお腹を抱えて笑った後、目じりに溜まった涙を拭いながら言った。
「・・・もしかしてホレ直した?」
「・・・・なっ!!」
あたしは口をパクパクさせて要の発言に言い返せない。
だって、図星なんだもん。