オオカミ系幼なじみと同居中。
「あぁぁああ!!」
やっぱり無理ッ!!
聞けない…聞きたくないッッ!!!
あたしの体は咄嗟に両耳を押さえて大声を出していた。
「未央…」
驚いた要は、耳を塞いでるあたしの腕を掴んだ。
掴まれたところから熱を帯びる。
なんで?
こんな時に、あたし何考えてんの?
あたしの腕を掴んだまま、要はあたしの顔を覗き込んだ。
セットされていない前髪の間から覗くその真っ直ぐな瞳にさらに動揺してしまう。
「落ち着けよ…いいから聞けって!!」
ヒステリックになったあたしを落ち着かせようとその腕を自分に引き寄せた。
自然な力で、あたしを抱き締めようとするその腕。
このままじゃダメ・・・!!
――ドン!!
「………聞きたくない…」
そしてあたしは力の限り要の胸を押しやった。
その勢いで、ゆらゆらと後ろへ倒れ込む要がなぜかスローモーションのように見えた。
まるで、二度と手に入らないものを手放した時のような感覚・・・
胸がドキドキして急に焦りだした。
「――・・・・・ッ」
そのまま要を部屋に残し、あたしは勢い良く階段を駆け下りた。