オオカミ系幼なじみと同居中。
あの家にいたくなかった。
どこでもいい・・・
今は・・・・・
要になんて言えばいいかわからない・・・・
外に飛び出した瞬間、肌を刺すような冷たさがあたしを襲った。
その冷たさとは裏腹に、風を切って走るあたしのその頬には温かな感触・・・
涙もこんなふうに感じるんだ。
ハァ…ハァ…ハァ…
「…ッ…ハァ…」
あたしの足は、無意識にあの「公園」までやって来ていた。
小さな街灯に照らされて
まだ花を咲かすには早い桜の木が、ぼんやりと浮かび上がっていた。
太い幹にもたれ、ズルズルと崩れ落ちるようにあたしは膝を抱えた。
この桜の木の下で
幼い頃・・・要に愛の告白をした。
要もあたしが好きって言ってくれたっけ・・・
甘いキスと一緒に・・・
「・・・・ック・・・」
息が出来ないよ…
要・・・・要・・・・・・・・
――ピピピピ
突然、ポケットの携帯が震えてあたしの体は一瞬震えてしまう。
もしかして・・・
なんて期待まで。
なんて往生際が悪いんだ。
自分から逃げてきたくせに。
あたしは涙をグイッと拭いて携帯を開いた。
――・・・なんで?