オオカミ系幼なじみと同居中。
「そっか……相田ってほんとなに考えてるかわかんないね」
早苗はそう言うと、白地のクッションをギュッと抱き締めた。
最初の頃からそうだった。
要はなにを考えてるかわからない。
いまいちつかめないんだ。
そう……例えて言うなら『猫』のような人。
誰かに束縛される事を1番嫌う自由な人。
だから、ずっと“特定の彼女”を作らなかったんだ。
誰にでも優しくて、誰にでも気を持たせて………
誘われれば断らなくて。
ほんと、あたしとは生きる世界が違う人だ。
要が好きって気が付いてすごく嬉しかった。
要もあたしが好きで、あたし達は幼い頃から惹かれあってた。
それだけで運命だと確信してた。
でも…それは。
あたしのひとりよがり。
「……旬がね…クリスマス一緒に過ごそうって」
あたしはそう言うと、テーブルの上に置かれた携帯に視線を移した。
あたしは、あの旬のメールに返信できずにいる。
「そっか。やっぱり諦めてなかったんだ、藤森」
「………」
その言葉に、顔が火照っていくのがわかった。
旬に抱き締められた時の腕の力がリアルに甦ってきて、あたしは両手でそれを押さえた。