オオカミ系幼なじみと同居中。
ドアを開けたまま固まるあたし。
ベッドに腰を下ろし、壁に身を預けていた要。
あたしに気が付いて、伏し目がちだった要はゆっくりと顔を上げた。
スローモーションのように2人の視線が絡み合う。
昨日と同じ場所。
そこに要は座ってる。
――…まさか。
ずっとそこにいたの?
そんなわけないよね…?
…うん。
あるはずない。
でも……
「…………」
要は何も言わず、あたしの顔を見つめている。
怒ってる…瞬間的にそう思った。
あんな事言って飛び出したから…
あたしはその瞳に捕まってしまったかのように、身動きが取れなくなってしまった。
うんん。
もう息だってできない。
口の中の水分が全て奪われてしまって、唾をゴクンと呑み込みたくてもそれすら出来ない。
要のその瞳は、あたしの全てを見透かしているようで目眩がした。
永遠と思えるような瞬間――・・・
ドクン
ドクン
ドクン
「………」
要の綺麗な唇がピクリと動いた。
あたしの全部が心臓になってしまったかのように波打ってる。
要の息遣いにさえ、過敏に反応してる自分が恥ずかしくてあたしは唇をキュッと噛締めた。
「美咲と俺は中2の時2ヶ月間付き合ってた。でも、もう会わないしバイトもやめる。
不安にさせてごめんな?」