オオカミ系幼なじみと同居中。
チャンスじゃない。
これが、最後なんだって。
「…来ないかと思った」
「…遅くなってごめん」
未央に肩を並べて、俺はツリーを見上げた。
今までアップテンポな曲が、うって変わってスローな曲に替わる。
…あ。
これ知ってる。
クリスマスに1人になるって歌だ。
寂しい曲なのに、俺この歌好きなんだよな。
「………」
「……」
この歌のイメージに合わせてなのか、さっきから青か白のイルミネーションばっかりだ。
しばらく俺たちは無言でツリーを眺めてた。
きっと未央は、俺がずっと待ってるとかわいそうだと思ってここに来たんだな。
顔に出てるってば。
わかりやすいやつ。
「…ぷ」
「…なに?」
突然吹き出した俺を不思議そうに眺める未央。
俺は、一呼吸置いて視線だけを向けて言った。
「…や。 かわいいなって?」
「…えぇ!?」
大きな瞳をさらに見開いて俺を見上げるその顔は、真っ赤だろう。
口をパクパクさせて「…な…な」なんて連発してるし。
ほんとわかりやすい。
でもさ…同情ならいらないんだよね。
いらないだろ?
そんな優しさは、残酷だよ。