オオカミ系幼なじみと同居中。
*第8部*
・夢のあと
ありがとう…
ありがとう………旬。
いつもあたしを大事に想ってくれて…
すごくうれしかった…すごく安心できたよ……
降り出した雪が、あたしの頬をかすめていく。
冷たいのに、すごく温かいと感じる。
変なの。
駅前で旬と別れてから、あたしは息を付く間もなく走った。
振り返ってはいけない気がして。
全速力で。
足が絡まりそうになりながら……
ハア…ハア…ハア………
「………」
クリスマス・イヴの今日は、住宅街に入るとすれ違う人はまばらになった。
それぞれの家から零れる優しい光。
きっと、みんな幸せな時間を大切な人達と過ごしているんだろう。
温かい料理を囲んで、プレゼントを交換したりして。
世界中の誰もが、わけ隔てなく幸せになる権利を持ってる。
それが実感できる日。
クリスマスと言う特別な日。
―――……ガサッ
何かが鞄から落ちた感じがしてあたしは足を止めた。