オオカミ系幼なじみと同居中。
パパ達が一度家に戻って荷物など整理すると、出掛けて行った。
おじさんやおばさんがあたしに何か言ったけど、あたしの耳にはどの言葉も入って来なかった。
おぼつかない足取りでリビングから出ると、あたしは一気に現実に引き戻された。
「……要」
いつからそこにいたの?
昨日…会えなかった……
クリスマス…会えなかったのに……
階段に腰を下ろした要は、頬杖を突いたまま視線を合わせず言った。
「……アメリカ行くんだ?」
――…ドクン
聞いてた。
あたし達の話を聞いてたんだ…
あたしは震えてる唇がバレてしまわないように下唇をキュッと噛んだ。
「………あ…あの」
あたしの言葉を待つ要。
長い前髪をかきわけて、視線だけをあたしに向けた。
真っ直ぐなその瞳に、捕まってしまった。
要のその目はいつもあたしから自由を奪う。
いつもそうだった……
そうやっていつも、全てわかってると言う目であたしを見るんだ。
今だって…あたしがアメリカになんか行きたくない事わかってて要は言ってる。
答えれる訳ない事わかってるのに……
それはほんの数分の事だったんだろう。
うんん。もしかした数秒かも。
でも、あたしには時間が止まったように感じた。
あたし達以外の全ての時間がストップしてる。
そう思った。