オオカミ系幼なじみと同居中。

―――――――……
――――……



人がまばらになった住宅街に、足音がこだまする。
世界をオレンジに染めていた太陽は、とっくに見えなくなってしまった。
夜空には月は見えない。

新月なんだろうな……



いつもよりキラキラ光っている夜空を見上げた。
月が見えないぶん、その周りの星達がまるで自分の存在を主張するかのように輝いている。


首に巻きつけたマフラーが時々外れかかるのを、あたしは何度も直しながら走る速度を緩めない。



「はッ……はッ……はあ……」



乱れた息を整えながら、あたしは携帯を開いた。
暗闇に眩しいくらいの光に、あたしは思わず目を細めた。







23時52分……



もう……間に合わないかもしれない。



あたしはあれから早苗達と一緒にいた。
うんん、動き出せなかった……。





いるかどうかもわからない、要。
それに、もし会ったとしても……また“しょうがない”なんて言われたらあたし今度こそ立ち直れる気がしないんだ。


自分が思ってたよりもずっと、あたしは臆病だ。



勇気が出なくて。

向き合うことが怖かった。



でも…………
あたしは今、走ってる―――






ただ、あなたに会いたいから。

その声が、聞きたいから……。



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