オオカミ系幼なじみと同居中。
「うんん……な、なんでもないの! 平気平気」
あたしは真っ赤になった顔を隠すように大袈裟に両手を振った。
「ふうん?」
「それがさー、未央ってば……」
首を捻っている旬に早苗が何かを言いかけた。
ちょっと!
何、言う気なの?
慌てて早苗を見る。
「未央、昨日から……ンググッ」
わわわッ
あたしは咄嗟に早苗の口をおさえた。
「なっなんでもないからっ! ほんとにっ。ねっ早苗!?」
口を塞がれコクコクと頷く早苗。
「あはは。 じゃーそうゆう事にしといてやるよ」
旬は、「じゃな」と先に行ってしまった。
「ん~、ん~っ!」
旬の背中をぼんやりと見送っていたあたしはハッと我にかえり、早苗から手を離した。
「ぷはあっ」
「ご、ごめん……早苗」
「なによ……未央。黙っとくの?」
「苦しかった」と胸をなでおろす早苗から視線を逸らし、消えてしまった旬の背中を追った。
「……知らない男の子と2人きりでしばらくいないといけないなんて。藤森くんには知られたくない」
「そか。そうだよね。ごめん」
早苗は、よしよしとあたしの頭を優しく撫でた。