オオカミ系幼なじみと同居中。
・暫しの別れ
あっと言う間に正月休みも終わった。
あたしは両親と共にアメリカへ向かう為、N空港にいた。
国際線の時刻表がさっきから慌しく変動している。
その真下で、あたしはたくさん友達に囲まれてた。
みんな忙しいはずなのに、別れを惜しんでここまで見送りに来てくれたんだ。
「ちゃんと電話してよねッ! メールもこまめにするんだよ?」
「手紙も送ってね?」
「うん。 絶対する」
あたしは、ハンカチで溢れ出る涙を抑えている結衣と愛美に笑顔で言った。
「未央、アホだからなぁ……英語話せないだろ? 仲間はずれにされないか心配だよ」
黙ってその様子を眺めていた旬は、眉を下げて笑った。
「あは……あはは」
アホって……旬。
確かにそうだけど……うん。
でも、旬に言われるとなんか凹む~。
「早苗?」
「未央……帰ってくるんでしょ?」
輪の後ろの方で少し離れていた早苗が、俯きがちに言った。
いつもさばさばしていて、男勝りの早苗。
いつもあたしの味方だった早苗。
いつでも、一緒にいた早苗。
その早苗の姿に、あたしの視界は一気に歪んでいく。
今日は泣かないって決めたのに。
笑顔で別れようって……決めてたのに。
「あたりまえだよッ! みんなが高校を卒業する年の春に必ず帰ってくる」
「……絶対だからね?」
早苗はそう言って、あたしの首にそっと自分の腕を回した。
「早苗……ありがと」
あたしは、早苗の華奢な体をギュッと抱き締めた。
本当に、みんなありがとうね……