オオカミ系幼なじみと同居中。
人間の本能って都合よく出来てる。
嫌なことはちゃんと忘れるように出来てるんだって。
あたしが“あの日の記憶”をなくしてたのも
そのあと、要が嫌いになっちゃた訳も。
しっかり、その生理的現象だったのだ。
「要のバカ」
「んー……」
あたしの声に反応して、綺麗な顔が歪んだ。
そして、長い睫毛がピクリと動くと瞼がゆっくりと開けられていく。
眩しそうに顔をしかめて、片方の瞳であたしをとらえた要はその頬を緩めた。
「……はよ」
「…………」
ジロリと睨みつけるあたしの視線なんかお構いなしで、要は慣れた手付きで体を回すとあたしに覆いかぶさった。
……重い。
寝ぼけてるの?
「ちょ……ちょっと……」
腕に力を入れて、その胸を押してみてもびくともしない。
寝癖のついた要は眠そうに目を細めたまま、さらにその顔を寄せる。
「……お前、誘ってんだろ?」
「はぁ?」
そして、首筋にキス。
「ひゃ……」
思わず、声をあげたあたしに要はさらに軽く音をたてながらキスを繰り返す。