オオカミ系幼なじみと同居中。


要は気まずそうに、視線を泳がすと



「あー……ごめん。食って来ちゃった」



と言って、ポリポリと頭を掻いた。



「そっか!そうだよね。いいのいいの!あたしが勝手に作ったんだし」



あたしは、笑顔を作ると顔の前で大袈裟に手を振ってみせた。



やっぱり昼間来た時、それを言いに来たんだ……。
カッコ悪……。



じっとあたしの顔を見つめてい要は、ふっと口元を緩めるとあたしの頭にぽんっと手を乗せた。

「え?」


驚いて顔を上げると、あたしを覗き込むように見る要と目が合う。


「……あ、あの」


その瞳があまりにキレイで不覚にも胸が「キュン」って鳴いた。

ドギマギしてるあたしなんか構いなしで、要はその瞳を細めるとワシャわしゃとあたしの髪をかき混ぜた。


「でも、まだちょっと食い足りないなーって思ってたんだ。 食ってやるよ、うまいんだろうな?」


「……え、あ……な……うっうまいに決まってるでしょ」


そう言って頬を膨らませたあたしを見て「へーえ」って笑う要。




「サンキューな」


そう言った要はくしゃくしゃになったあたしの髪を一度だけ、ふわりと撫でた。



――……ドキン!





「……」



不意打ちに触れた要の手。
態度とは裏腹に、その手はすごく優しくて……。


 
……ずるいよ、こんなの。

意地悪なのに、意地悪じゃない。



「着替えてくる」と言って2階へあがっていった要の足音にすら、ドクドクうるさい心臓の音が、まるで耳元で鳴ってるみたいにずっとリアルに響いた。



――……あたし、変だ。

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