オオカミ系幼なじみと同居中。


「……先にお風呂借りるね」



リビングのソファで、バラエティ番組をみている要に声をかけた。

要は「んー」と顔だけこちらにむけて片手をひらりとあげた。

要と目が合うだけで、あたしの体はピクリと反応してしまう。




……ダメだ。
なんか調子狂う。

さっき、あんな風にあたしの髪を触ったからだ。



「はああぁ」




洗面台の鏡の前であたしは両手をついて思わず溜息を漏らした。

鏡に映る自分に視線を向ける。


これってやっぱやばいんじゃないかな。


仮にも、健全な男女。


これから夜を二人きりで過ごすなんて、なにか起きない可能性はない。




あたしは、朝の事件を思い返していた。


イヤでも思い出すっつーの!




わーッ!!
消えて消えて!

思い出しただけで鼻につく甘い香りに、あたしはブンブンとそれを振り払った。




要のタイプは美人さんって噂だし。

心配しなくてもあたしは圏外か……。


小さな体に、まだ成長過程の胸に触れた。


圏外って……。
自分で言っててなんかへこむし。


はぁ……。

バカみたい。


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