顔面レベル100の幼なじみと同居なんてゼッタイありえません!
その一連の動作が、まるでスローモーションのように動く。
あたしは声を出すことも出来ず、固唾を呑んで要を見つめる事しかできなくて。
どうしていいかわからない、あたし。
まるで何かの呪縛にかかってしまったように動けない。
だんだん距離をつめる要の顔――――……
その要の唇がわずかに動く。
あたしを見つめるその瞳はなぜか切なげで。
何かを伝えようともしてる。
え?……なに?
あたしどうしちゃったの……。
要から目が逸らせない。
瞬きも許してもらえない、そんな感覚に目眩がした。
前髪が触れる距離。 鼻が触れそうな距離。
伏し目がちの要から、ほんの少しのためらいを感じた。
そして……
唇に柔らかな感触―――
あたしを包む甘い香り――……
初めて要の部屋に入った時、あたしを包んだあの香りだ。
甘くて、ちょっとだけスパイスがきいた……
まるで苺みたいだ。
「…………」
要はそっと唇を離すと、放心状態で瞬きすらしないあたしの顔を覗き込んだ。
「お前見てると、いじめたくなる」
「……」
そう言うと、要は悪戯に微笑んだ。
なな……なんだそれ!
キスをする前の儚げな表情は消えていて。
あたしは言い返せずに、開いた口が塞がらない!
そんなあたしを、要は面白そうに眺めていた。