オオカミ系幼なじみと同居中。
あたしは早苗と並んで教室に向かって歩く。
あれからすぐに教室に行く気にもなれず、早苗が来るのをひたすら中庭のベンチで待ち続けていた。
ここなら、登校してきた生徒とすれ違うことも滅多にない。
でも、さすがにHRも始まる時間になって、ようやくあたしは重い足を引きずるようにここまでたどり着いたって訳。
ま、ほとんど早苗に引きずられてるようなものだけど。
朝練を終えた旬はきっともう教室にいるだろう。
旬に会うのなんだか気まずいなぁ……。
「はぁ……」
あたしは溜め息をついて窓の外に視線をずらした。
この時間になると、登校して来る生徒もまばらになってる。
要……もう来てるのかな。
そんな事を思ってると早苗があたしの脇腹をこづいた。
「え?」
あたしは窓から早苗に視線を戻した。
早苗は顎で何かを指しているようだ。
ん?
なに?
あたしは早苗の目線を追った。
「……あ」