オオカミ系幼なじみと同居中。


「なんだろ。あれ。未央に気づいてなかったのかな?」



早苗が、通り過ぎていった要の姿を見ながら言った。



うんん。



要は気づいてたよ。



あたしが言ったから。



『他人のふりをして』って……。
その約束、ちゃんと覚えていてくれて、それを守ってくれてるだけなんだ。





「……」



教室に入ると、すぐに旬と目が合った。

旬は 片手をあげ あたしに挨拶をした。



ぎこちなく笑顔を作る。



告白の返事をしなくちゃ。






だけど、あたし変なんだ。

旬の事より、アイツの事を考えてる。

今、何してるのかなとか……
何の授業してるのかな、とか。

それに、ずっと人ごみの中を探してる。

要の姿を……あたし探してるんだ。



1日学校にいて、要に会ったのは朝の一度きりだった。


同じ1年でも、校舎が違う。
移動とかで、必ずあたし達のクラスの前を通らなくちゃいけない教室もあるのに。

それでも、要の姿を見つけられなかった。



会いたいような会いたくないような不思議な気持ち。




今日1日、あたしは要の姿を探してた。






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