オオカミ系幼なじみと同居中。




もうすぐ、太陽は沈んでしまいそうだ。




あたしは学校の近くの堤防から、時間がたつのも忘れて、ただぼんやりと川を眺めていた。


これからどうしよう。








川から吹いてくる風の中に雨の匂いがした。



さっきまで晴れていたのに……。
まるであたしの心の中みたい。


もう帰ろう。



こんなことで何時間居てもどうしよもない。
 
あたしは立ち上がって、スカートに付いた草を払う。




「……ここにいたんだ」



背後で息をきらした声がして、あたしはゆっくりとその声を追った。




「探した」



………………旬。


肩で息をして、流れる汗を手で拭う旬。
まさか、あたしを探してた?



「メール気付かなかった?」



そう言って旬は携帯を振ってみせた。



「あ、あの……ごめん」



「いいよ、別に」



旬は流れの速くなった川を見た。






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