オオカミ系幼なじみと同居中。
・雨模様 ― 要sid
気がつくと俺の周りには、いつも女が集まってくる。
俺だって始めは、拒否ってた。
けど。
いつからかな、それもめんどくさくて
“さっさとすませてすませてしまおう”
なんて、思い始めてた。
だから、結構恨まれる事も多い。
自業自得。
「……要……今日はうちに入れてくんないんだね」
「うーん……、今日はダメ」
まとわりついてくる腕をそれとなくかわして俺は笑顔を作った。
「えぇ~!つまんなぁい」
あからさまに甘えた声でさらに体にまとわりつく。
あぁ……めんどくせぇ……
いつもこうだ。
ウザくて、それがめんどくさくて女の誘いを受け入れる。
ふとあいつの顔が浮かんだ。
あー……くそッ。
あいつは一体なんなんだ。
この家に住んでる事は秘密にしたいって言っておいて
自分から姿見せるなんて。
意味わかんねーし。
俺がどんな気持ちでいつもいると……
「……」
なんか腹立つ。
女の子の扱いには慣れてるつもりだった。
でもその自信を簡単に崩してしまったのは、最近うちに居候している女だった。
今までの子とは違う反応にオレは驚いていた。
目が合うだけで、恥ずかしそうに俯いて、触れようなんて手を伸ばせば小さな体は強張って固まってしまう。
そんなに、緊張されるとどうしていいかわからない。
ほんとに、俺の事全然覚えてねぇんだな……
……ったく。
どんだけ単純なんだよ、あいつは。
「ごめんね。今日は帰って?」
「なによぉ、つまんない~」
俺はにっこり笑顔を作ると、香水の香りがプンプンする女を見た。
色気ムンムンの彼女はそう言って「今度埋め合わせしてよね~」と去っていく。
「はぁー……」
溜め息を吐きながら頭を掻いた。
“ヤレるなら誰でもいいのかよ?”
そう思って、俺は自分にも問いかけた。
雨の降り出しそうな空を見つめた。
……どこ行った? 未央……