顔面レベル100の幼なじみと同居なんてゼッタイありえません!
・それぞれの気持ち
「これで、濡れたとこ拭けよ」
旬にバスタオルを手渡された。
「あ……ありがとう」
あたしは雨の中、旬の手に導かれて旬の部屋にいた。
どうして、来てしまったのか自分でもわからない。
でも、あたしは旬とここにいる。
濡れた髪をほどいてタオルで水分をとる。
ワンピースが透けているのに気付き、急に自分がしている事に恥ずかしくなった。
このままここに居てはダメだ……
「あ、あの旬……あたし、帰るね?これ、ありがとう。心配かけちゃって、ごめん……!」
…………
そう言いかけた瞬間、あたしは旬の湿った腕の中にいた。
「桜井……」
少しかすれた声が耳にかかる。
あたしは抱きしめ返せず、その胸を押しやる事も出来ずにただ……旬の鼓動を聞いていた。