オオカミ系幼なじみと同居中。
「うぅーん……」
眠たい目を擦りながら伸びをした。
昨日はあれこれ考えていたらいつの間にか朝になっていた。
「はよ」
「……おはよう」
部屋を出るとちょうど要と鉢合わせた。
眠そうに頭を掻きながらTシャツにスウェット姿で現れた要。
どんな服を着ていてもさまになっている。
そんな要をあたしはうらやましく眺めた。
「?」
あたしの視線に気付いた要は首を傾げた。
わわわッ
「あ~お腹すいたっ」
要を追い越して小走りに階段を降りた。
それに続いて、ゆっくりと足音がついてくる。
要は何も言わないし、何も変わらない。
まるで昨日、何もなかったかのように―――
――――――――……
―――――……
旬の家から帰ると、暗い部屋で要は一人テレビを見ていた。
なんとなく、後ろめたい気持ちを感じていたあたしは恐る恐る部屋に入ると、要はテレビから視線をずらし、ゆっくり振り返った。
暗くて、その表情はよく見えない。
『おかえり。あ、飯どおする?』
『た、ただいま。うん。今作る。』
なんて、普通に喋ってる。
そういえば、あの女の子はどうしたのかな?
あたしは、要を見つめた。
『ん?』
『な、何食べたい?』
慌てて電気を付けた。
動揺している事に気づかれないようにさっさと仕度を始めた。
要が近づいてくる。
おさまっていた心臓がまた騒ぎだした。
冷蔵庫を開けて、中を覗いているあたしの背後に立つとその両手があたしの手の傍に置かれた。
ドクン ドクン ドクン
すぐ後ろに要を感じる。
背中がどんどん熱を帯びる。