オオカミ系幼なじみと同居中。
時々海外から国際電話が来る。
『何か困っていることはないか?』
パパはいつも決まってそう聞く。
『大丈夫。おじさんもおばさんもとっても親切』
あたしも決まってそう答える。
パパ達にはおじさんとおばさんが北海道に行ってしまってることは内緒にしてある。
ホントは“大丈夫”そんなことない。
ここ最近あたしの頭の中はパンク寸前。
あれから、要はあたしにちょっかいかけてこない。
相変わらず朝は起こしに行っているけど、寝ぼけながら抱き締められる事もない。
あれはなんだったんだろう。
夢?
あたしが見ていた、幻だったのかな?
そんな事を思いながら、朝ごはんのトーストをかじり新聞に目を通している要の姿を眺めた。
まだ、寝癖のついた髪。眠そうな顔。
こんな姿の要を見ているあたしは少し得した気分になる。
『?』
あたしの視線に気づいた要は新聞から目を離した。
慌てて手に持っていたコーヒーを見る。
要がほんの少し笑ったのがわかった。
だんだん顔に熱を帯びる。
うう……。
見ないで欲しい。
要は、文句なしでかっこいい。
その魅力的な瞳であたしを見ていると思うと恥ずかしくてたまらない。
それに比べ、あたしは中の中。
と言うか、童顔。
あえて自分の「ここが好き」ってとこを言うとすれば、口元かな。
ぷっくりしたピンク色に両端が少し上がった唇が唯一の自慢。
でも、要を見るとそのあたしの自慢も影が薄くなってしまう。
ほんと、一度でいいからこんな顔になってみたいな。
そしたら、人生すっごくハッピーなのかもしれない。
要にも、コンプレックスってあるのかな?
「…………」
あたしは熱々のコーヒーをコクンと飲んだ。