オオカミ系幼なじみと同居中。
要が何でこんなところに?
はっ!
ま、まさか。
女の子とあんなコトやこんなコトしてたんじゃ……。
こっそり要の周りを見てみたけど、誰かいる気配はない。
ひとりなんだ……。
ホッ胸を撫で下ろすとあたしは、よつんばいのまま、音をたてないように寝ている要に近づいた。
「……寝てるの?」
小さな声で呼んでみる。
「……」
返事はない。
返ってくるのは寝息だけ。
陽にあたってとても気持よさそう。
なんだか嬉しくなった。
あたしはその横に腰を降ろした。
学校では要の側にこんなに近付いた事なんてない。
家で見る要とはやっぱり少し違って見えた。
首に掛かっているネクタイは無造作に緩められている。
ドキン……。
なんだか胸がドキドキした。
両足を投げ出して気持ち良さそうに寝息を立てている要。
少し、傾いた顔には木々の間から光が射している。
キラキラと光の群れが、要のそばでダンスしてるみたいだ。
あたしはそっと要の顔を覗き込んだ。
「……」
――……キレイ。
いつ見てもまつ毛長いなぁ。
お肌つるつるだし。
あれ?
ちょっと前髪長いんじゃない?
それじゃ、目にかかってるじゃん。
要の顔から足元に視線をずらした。
学校の売店で買ったと思われる茶色い紙袋と、コーヒー牛乳が置いてあった。
ひとりでお昼食べてたんだ。
……意外。
要にも、ひとりになりたい時間があるのかな?
いつも、大勢と一緒にいるってイメージなのに。
――……。
あたしは四角く見える青い空を見上げた。
風に乗って雲が穏やかに流れてる。
要の寝息も聞こえる。