オオカミ系幼なじみと同居中。
でもそれは、すぐに制止された。
要があたしの腕を掴んでいたから。
「……ちょ、待ってよ。 そんなすぐ逃げる事ないじゃん」
「……に、逃げてなんか」
そこまで言って、グッと口をつぐんだ。
あたしを見上げる要の瞳に吸い込まれてしまいそう。
掴まれた腕が熱い……。
そこからふにゃふにゃと溶けてしまいそうになる。
そのまま、あたしは崩れるようにペタンと座り込んだ。
「いつからそこにいたの?」
あぐらをかいてその足に肘を乗せている要。
そして髪をワシャワシャと掻きながらあたしの顔を覗き込んだ。
「つ、ついさっき」
要に掴まれた腕がまだ熱くてあたしはそこを、強く押さえた。
平然を装おって宙を仰ぎながら答えた。
「……なんですぐ起こさねぇの?」
「お! 起こしましたともっ」
って、あたしなんか言葉おかしいし!
起こしたよ?
声、かけたもん!
顔、じっくり見たかったわけじゃないもんっ。
むすっとしてジロリとあたしを睨んだ要。
あたしの言葉を聞いて、そのまま顔を背けてしまった。
「……要?」
手で半分以上見えなくても、要の顔が赤いのはなんとなくわかった。
……うそ。
照れてる?
驚いて目を丸くしているあたしの顔を見て要は反対を向いてしまった。
「ぐふふ」
予想外の反応に笑いが込みあげてきた。
「あははっ あははは」
今まで遠くに感じていた要が急に身近な存在に思えた。
「ぐふふって。ちょっと怖い……」
ケラケラ笑うあたしを要は恥ずかしそうに睨む。
「あははっ………」
笑っていたあたしの口が塞がれた。