オオカミ系幼なじみと同居中。


あたしから手を離した要は、地面を見つめている。


何?
何を考えてるの?



あの雨の日以来、要はあたしに触れてこない。

からかわれっぱなしだったのに、それからは何も言ってこない。



それに……。



頻繁に来ていた、不特定多数の女の子達もあの日を境に、姿を見せなくなったんだ。


あたしが家にいるから、呼びづらいのかって思っていた。

でも、学校で見かける要もいつも男友達と一緒にいた。



不思議だった。



聞きたくても聞けずにいつも、グッと言葉を飲み込んでた。




思い切って今、聞いてみようかな。

要を近く感じる今。




「あ、あの……」

「あのさ……」


「え?」



ほぼあたし達は同時に言った。



「何?」



あたしは、なんだか気が抜けた気分になった。


聞かなくてよかったかも。

第一、あたしに聞く権利はないもん。



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