オオカミ系幼なじみと同居中。
「えーーと。……お前ってさ、風呂場でいつもなんか歌ってるだろ?」
「へ?」
「あれ、なんて歌?」
まさかの質問に間の抜けた返事をしてしまった。
そして、耳まで真っ赤になるのを感じた。
「き……き……きき、聞いてたの!?」
ワナワナと声が震える。
あたしの特技。自作の歌を湯船に浸かりながら歌うの。
浴室で歌うと、とってもうまく聞こえる。たぶん誰しも一度は経験済みな事じゃないかな?
でもそれは自己満足の世界で、人に聞かれてしまうと物凄く恥ずかしかったりする。
「嫌でも、聞こえた」
要は口の端をちょっと上げて、いたずらっぽく笑う。
ぼぼぼぼぼっ
また顔が熱くなる。
最悪最悪っ!
恥ずかしくて穴があったら入りたい!
「もーっ 信じらんないっ!」
あたしは両手で要の体を叩いた。
「……いてっ……なんだよ、別にいいじゃん。 俺しか聞いてないんだし」
そう言って、あたしの手をうまくよける。
それが一番恥ずかしいんだってばっ。
「未央って、ほんとおもしれぇ。お前見てると全然飽きねえよ」
「え?」
笑ってそんな事言うもんだから、その手も止まってしまった。