オオカミ系幼なじみと同居中。


「……はぁー。お前、なんなんだよ。ほんっと意味わかんねえ」



かすれた声が首筋をくすぐる。
囁くように言って、要はあたしを抱きしめる腕に力を込めた。


意味……わかんないのは……要だよ。


それってどういうこと?


これは、どういう意味?


泣いているあたしを慰めてくれてるの?
それとも、別の感情があるの?



「…………」

「俺にどうしろっつーんだよ」




キーンコーンカーンコーン




授業の始まりを教える予鈴が鳴っている。
でも要の腕の力は変わらない。






「あ……要……泣いたりしてごめん。 もう大丈夫……」



あたしは遠慮がちに要の腕に触れた。


要は、急に泣き出したから驚いたんだ。
だからあたしは、慰めてくれてるんだと思った。


うん。

もう、大丈夫。



だって、わかったんだもん。




ちゃんと自分の『本当の気持ち』が。



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