オオカミ系幼なじみと同居中。


「んー……たしかに未央はセクシー系でもキレイ系でもないもんね」


マナが笑って言う。


ううう。
気にしてる事を、そんなはっきりと……。


あたしは背も4人の中で一番低い。
顔も童顔で、髪もボブだったあたしは、よく中学生に間違われた。
今は少しだけ化粧をして、髪も胸の下辺りまで伸ばしてるから、さすがに最近はなくなったけど。


「そっちを狙っちゃ勝ち目ないけど。でも、未央は魅力あると思うなあ」


早苗はうーんと腕組をした。


「魅力って?」


あたしは思わず身を乗り出す。

早苗はそんなあたしの顔をじーっと見た。



「……。いや、ほら!……ねっ結衣!」

「え!?……あ、うん!未央ってほら、妹的な存在っていうか。守ってあげたいって言うか? ねっ、マナ」

「そ、そうそうっ。 守ってあげたくなるよ。からかいたくなるっ」

「……」


褒めてる? ねぇ、それって褒め言葉?

顔を見合わせて、楽しそうに……うんん、ちょっと焦って言う親友たち。



「……ありがと……みんなの愛はしっかり受け取ったよ」



あたしはポテトを掴めるだけ掴んで口に放り込んだ。



「でもさ。そしたら早く藤森に言わないとね」



早苗が頬杖をつきながら言う。



「……うん」



あたしは、そっと窓の外を見た。


街を行きかう人は、足早に通り過ぎていく。
季節はもう梅雨に入ろうとしていた。


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